No.046  2003.9.12

赤穂市有年原の元中学校校長、久保良道さん(66歳)が、     
                  『戦没者に想う 赤穂の人々と戦争』 を自費出版されました。


くぼっち文庫でご紹介させて頂いた、赤穂市有年原在住の元中学校校長の久保良道さん(66歳)が、『戦没者に想う 赤穂の人々と戦争』と題して、赤穂の戦没者の実態をまとめた書籍を自費出版されました。

 久保さんは幼い頃に父の良一さんを戦争で亡くされました。その当時は祖父が健在だった為、寂しく思う事があまりなかったそうです。ただ、敗戦の年、ビルマ(現ミャンマー)のぺグー山麓を転進中に戦死した父のことが心の中から消えることはなかったそうです。
 そのことから、戦没者(特に赤穂の戦没者)や、遺家族の無念さや悲しさは計り知れないものではないのだろうか、、、と強く思い、いろんな資料を収集するきっかけとなったそうです。
 また、定年退職後に勤めた赤穂市立民俗資料館で、出征兵士の名簿や、戦争に関する様々な資料にふれ、このままこんな貴重な資料を眠らせるわけにはいかないと、赤穂遺族会や妻の故・眸先生の協力を得て執筆を決心されました。

    神戸新聞にも記事が掲載されました。




 久保さんの父・故良一さんが所属していた『第五十四師団衛生隊』の戦誌です。
 無事に生還され良一さんの遺品を持ち帰った方が、亡き良一さんを偲んで手記を載せています。
 良一さんの時世の句も紹介されておりました。。。 (良一さんは教師でした)

         御楯吾れ心は矢猛に逸やれども
          駒の足並落ちて悔あり
        喜べ 良道 昭臣 
          言云わぬ父は母と朝な夕
             家の内外で子らを守ります



父・良一さんが戦地に持って行っていた郵便貯金通帳。 ここに、直筆の時世の句が書かれてありました。
また、遺言もあり、貯金の一部は寄付されています。。


下のハガキは、父・良一さんが戦地から家族に宛て書かれたもの。

 収集した資料を丹念に分析し、明治時代の西南戦争から昭和の大東亜戦争敗戦後15年が経った昭和35年の83年間での赤穂の戦没者は、1,227人にも達していることがわかりました。
 特に”昭和の戦争”、”大東亜戦争と赤穂”と題したページでは、年代別(昭和19年と20年では月別)、年齢別、戦没地別等の様々な角度から、赤穂の戦没者数を分析しています。
 そして、20代の戦没者が全戦没者の56.1%を占めていることがわかりました。
 また、日中戦争中の風説も紹介しています。

※福浦新田からも兵士を送り出したが、奇跡的にも全員が無事に帰還した。 このことから新田の氏神である龍神社の御加護ではないかとい
  う風説につながり、これ以後、龍神社が”弾丸よけ神社”と呼ばれるようになり、神社は多くの参拝者で賑わった。とのこと。。



これらの絵ハガキは全て戦時中に発売されたもの
(赤穂市立民俗資料館蔵)


これは俗に言う”赤紙”(複製)
戦争国債(本物)
当時の人々は勝利を信じ、お国のために国債を購入されたそうです。


取材を終えて・・・
 この書籍に、久保さんの父、故・良一さんの『死亡告知書』を掲載してあります。
 当時この紙切れ1枚で、大切な家族の死を受け止めなければならなかった方々の心中はどんなものだったでしょうか。。。戦争を知らない私達には、何とも受け入れ難い事実です。
 久保さんはご自身の道標となるはずの父を亡くし、どんな人間になればいいのか、迷った時にはどうすればいいのか、そしてどんな教師、父、夫になればいいのか、、、ずっと深く悩んでいたそうです。「すべて自分の気持ちだけを信じて生きてきた。いろんな壁にぶつかった時、助けてくれたのはいつも生徒達だった。。妻を亡くした時も毎日教え子達が励ましに来てくれた。。いつも助けてくれた子供たちに、お返しができれば。。そして、決して自分のような想いをする人をこからもつくってはいけない。」と話してくださいました。
 こんな思いから、 この書籍は赤穂市内全小中学校に寄贈されています。<教材に使えるように書かれてあります>


 とても理解しやすく、読みやすく書かれているので、戦争を知らない世代にも戦争の悲惨さが伝わる1冊だと思いました。もっともっと戦争を身近に感じ、現在も未来も永遠に、世界中から忌まわしい戦争が無くなることを強く望んで止みません。。。

 
 
 A4版 111ページ 
 出版 神戸新聞総合印刷
 定価 2,160円

 取扱い書店は、赤穂書房さん(0791-42-2516) 詳しい場所はこちらから

 お問い合せ 久保さん宅(0791-49-2089)
 

☆☆ くぼっち文庫からのお知らせ ☆☆


 9月より絵本の貸し出しをはじめました。
 期間は2週間です。冊数は決めておりません。

 みなさん、是非絵本を読みに来てくださいね!!

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