(あとがきより抜粋)
かつて人々の多くは、マチ・ムラという共同体のなかで生まれ、ここで育ち、ここで働き、ここで生活し、ここで生涯をとじた。明治以降になって近代産業が発達するにつれ、人々は新しい働き場所を求めて移動するようになった。鉄道や汽船などの近代的な交通機関は、これら人々の移動を容易にした。我々の故郷である赤穂にも、紡績業や製薬業、緞通業など新たな産業が生まれていったが、それまでは農業・漁業と製塩業が主な生活の糧であったという歴史があった。そのような赤穂の歴史を本書ではわかりやすく、上巻、下巻の2巻にまとめた。
上巻には、赤穂の歴史を地域別に記載した。城下町として発達した加里屋・上仮屋、千種川の堆積によって生活の場が広がっていった中広、製塩業のもとで歩んだ尾崎・御崎・塩屋、新田や塩田の開拓によって変貌していった新田以西の村々と福浦、瀬戸内有数の漁業と海運業の基地であった坂越、千種川の恵みと災いを一身に受けた川筋の村々、山陽道と水運の接点に位置する交通の要衝であった有年、それぞれが「赤穂の顔」であった。
下巻では、赤穂の主要産業であった製塩業の歴史をできるだけ詳しく述べた。また赤穂が被った災害、赤穂鉄道の敷設への情熱、地場産業である緞通業に従事した人々の生活を述べた。昭和初年ころの年中行事から、季節感を大事にしていた生活振りがわかる。また先人の精神的な拠り所であった宗教施設おあわせて新しい生活の糧となった企業・事業所を掲載した。
みなさんこの本によって赤穂の歴史の再発見と感動を味わって下さい。
販売先
歴史博物館43-4600 文化振興財団43-3269
販売価格
2,300円(上・下巻セット、B5版)